①食物への残留 -浸透性農薬
効果が長続きする浸透性の「ネオニコチノイド系」農薬ですが、ヒトや環境への影響が判明してきました。(健康ページ「ネオニコチノイド系農薬による健康被害」・自然ページ「水は澄んでも生きものがいない」)参照)
1990年代に登場した際は、それまでの農薬より安全と喧伝されましたが、その後ミツバチが減少する報告が相次ぎ、その原因が、ネオニコチノイド系農薬ではないかといわれ、EUでは禁止や規制の動きが広まっています。
ネオニコチノイド系農薬に代表される浸透性農薬は、農家の省力化のため、現在、日本の農業になくてはならないものになっています。しかし、洗っても落ちない浸透性の農薬は、私たちの食べものに残留し、赤ちゃんからお年寄りまで、食事の時に体内に入っています。
国もその実態を把握しています(※1)が、近年、残留基準値を緩和、新たな浸透性農薬も認可しました。
最近取り沙汰されている、こどもたちの発達障害などの増加について、神経毒である農薬の残留が原因ではないかと、デトックス・プロジェクト・ジャパン(DPJ)がこどもたちの尿検査をしました。その結果、全員のこどもたちからネオニコチノイド系の農薬成分が検出されています(※2)。
国によるエコチル調査(※3)では、妊婦8538人の妊娠早期(22週未満)と妊娠中後期(23週以上)の尿中ネオニコチノイド濃度を測定したところ、各時期ともに80%以上の方からネオニコチノイド系農薬が検出されました。(※4)
尿以外にも、大人・こども・新生児・妊婦の検査では、 血液・脳脊髄液・毛髪・唾液・精液・母乳・歯 から検出が確認されています。(※4)
注 :
(※1)化学物質の人へのばく露量モニタリング調査 | 保健・化学物質対策 | 環境省 (env.go.jp)
(※2)2024年民間団体DPJによる全国の小学生50人の尿検査
(※3)2011年に開始された、こどもの健康と環境に関する全国10万組のこども達と両親による大規模疫学調査
(※4)「ネオニコチノイド 静かな化学物質汚染」平久美子著 (岩波書店 ブックレットNO.1102 2024.12.4 発行)より